在宅で受けられるリハビリテーション

在宅でのリハビリテーション
ミチル
おじいちゃん、家に帰ってくるよ。もうリハビリしなくていいね。
チルチル
違うよミチル、家に帰ってもリハビリは続けなくっちゃ。

在宅のリハビリには様々な形があります ⭐

本人の能力はもちろん、置かれている環境、家族構成、価値観も人それぞれ違います。リハビリはその人がどのような生き方を望んでいるのか大切にしながら、能力や環境に合わせて最適な方法を目指します。

とは言っても、それではあまりに漠然とし過ぎるので、ここではまず公的サービスで受けられるリハビリについて全体的にお話ししたいと思います。

記事「リハビリを受けたい! どうすればいい?」でも少し触れましたが、ここではより詳しくお話ししたいと思います。在宅で受けられるリハビリは概ね、次の3つに分けられます。

病院・クリニック系

病院やクリニックなど医療機関で行う外来リハビリです。

近年、大きな病院で外来リハビリは縮小傾向にありますが、クリニックでは力を入れているところが増えています。それぞれ受け入れが異なるので、気になる病院やクリニックがあれば確認していただくと良いでしょう(病院とクリニックの違いは専門用語集へ)。

✍外来リハビリの受け入れは総合病院よりも中規模の病院~クリニックで多い。 

また、「リハビリテーション科」と看板のある病院やクリニックでも、そのサービスは全て同じではありません。理学療法士など専門職が個別訓練をしているところもあれば、電気療法や温熱療法など器具を使った治療で終始するところもあります。「リハビリ」という言葉だけでは、その内容を判断することはできません 🤔

以前はクリニックや診療所は器具での治療が多かった印象ですが、最近はリハビリの重要性も認識されて、専門職を配置するところが増えています。もし、インターネットが使えるのでしたら、病院のホームページを見てもらうとリハビリの様子を載せているところも多く参考になると思います。

長所としては、その病院にもよりますが、自宅や施設に比べると設備が整っており、スタッフも揃っています。より専門的なリハビリが可能で、病院でしかできない内容もあります ☝

短所はリハビリの受け入れがわかりにくい点です。病院でのリハビリは法律上の様々な制約があり、病院の方針によって受け入れが変わります。外来リハビリが受けられるかについては、それぞれの病院に問い合わせると良いでしょう。

通所サービス系

介護保険による通所サービスでのリハビリです。デイサービス、デイケアという名前で一般には馴染みがあると思います。日本語にするとデイサービスは通所介護、デイケアは通所リハビリテーションです。

デイケアは理学療法士などリハビリ専門職の配置が義務づけられており、個別訓練を行うことを前提としていますが、デイサービスはそのような法律的な義務はありませんデイサービスでのリハビリは、器具を使ったものや集団での体操や介護職員でも行える付き添い歩行などがメインになります。しかし、最近はリハビリへのニーズが高まっていることを受けて、デイサービスでも専門職の配置をするところが増えてきています。お試し利用を行っている事業所も多く、家族も一緒に見学・体験してみると良いでしょう。

デイサービス(通所介護) →リハビリ専門職の配置が義務づけられていない。
デイケア(通所リハビリ) →リハビリ専門職の配置が義務づけられている。
※しかし最近はデイサービスでもリハビリ専門職を配置するところが増えている。

通所系の長所は、食事や入浴という生活上のサービスも一緒に受けられることです ⭐ 例えば自宅での入浴が困難な場合、通所で介助のもとお風呂に入れることは大きなメリットになります。

また、多くの人と接することで、外出の機会が減った高齢者や身体が不自由な方にとって、精神的な刺激の要素も大きいと考えられます。家から事業所まで移動して、他人と半日から一日過ごすというのは身体になかなかの負担があります。家でのんびり一日過ごすのに比べて、体力を使うのは間違いなく、そのような総合的な観点からもリハビリになると思います。

また、利用中は介護者の負担がなくなるので、家族の休息にもなります。送迎もしてくれるので出発の準備さえすれば、あとはお任せすることができます。これも長く自宅で生活しようと思うと大切なことです。

通所系の短所としては、まずデイサービスとデイケアは介護保険でのサービスのため、介護保険の対象者でないと利用できません。
さらに専門職の個別訓練を強く求めている人にとっては物足りないかもしれません。デイケアにしても病院から退院して一定の期間は40分の個別訓練が提供されますが、それ以降は20分となります(事業所によっても提供時間は異なるので事前に確認してください)。「1日いるのにリハビリは少しだけ」と物足りなさを訴える利用者様も実際にいます。

そのため、通所では個別訓練以外の時間をいかに過ごすかも大切になります。器具でのトレーニング、体操、レクリエーションなど、通所サービスでは空き時間も多くの取り組みをしています。それらも活用次第では多くの効果があります。個別訓練の20分は予防や状態のチェックと考えて、その他の時間も有効に使うことが大切だと思います。

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デイサービスにおいては、最近「リハビリ特化型」と謳う事業所も増えています。これは、入浴や食事などを行わず、半日など短い時間で運動を中心にサービスを提供するものです。法律において定義や提供内容が決まっているわけではないので、実際に行われている内容は事業所によって異なります。

「リハビリ特化型」に限らず、通所サービスにおいては、空き時間の活用方法など事業所によって違いが見られます。少人数のところも大人数のところもあり、雰囲気もだいぶ異なります。ニーズに合わせたところを選ぶとともに、実際に足を運んで自分の目で確かめてみることが望ましいと思います。

訪問系

理学療法士など専門職に自宅に来てもらい、リハビリを受けることもできます。外出に大きな労力がかかる重症の方や、様々な理由で通院や通所サービスが行えない方に適した形式と言えます ✍

保険適用で利用されている訪問リハビリは、制度上「訪問リハビリテーション」と「訪問看護」の2種類あり、どちらも専門職が訪問して自宅でリハビリを行います。後者の方が普及していますがサービス自体に大きな差はありません。サービスを受ける方にとっては、区別を知っておく必要はありません。

訪問系の長所としては、来てもらうことで自分が慣れた環境でリハビリを行うことができます。また、実際に生活の場を見てもらいながら福祉用具などのアドバイスも受けられます。訓練時間も介護保険なら1週間に最大120分 ⏱ 行うことができます。60分訪問なら1週間に2度可能と言うことで、他のサービスと比べると、じっくりリハビリを受けることができます。

短所としては、自宅で行うため、病院のような器具や環境は使えません。また、外出できる能力があるにも関わらず、訪問系のサービスを用いれば、外出の機会を奪うことになります。週に2回、1時間の訓練を行ったとしても、1週間のうちの84分の1です。他のサービスに比べて個別訓練の時間は長いですが、それでも生活の中のごく一部に過ぎません。訪問とは別に自分や家族で運動を行うという意識がないと十分な効果にはならないでしょう。

訓練の内容にもよりますが、運動量では訪問よりも通所で1日過ごす方が多いことも十分考えられます。状態が回復するのを見て、通所系のリハビリに切り替えたり、一部取り入れたりするのも上手な活用方法だと思います。

その他、専門職が多い事業所も増えましたが、訪問という分野では理学療法、作業療法、言語療法と選択して組み合わせると言うよりは、ひとつの職種が他の分野も兼ねながら治療に当たることが多いように思います。例えば、実際には理学療法士が作業療法の分野を兼ねたり、看護師が摂食・嚥下のリハビリを行ったり、ということも見られます。

そういう意味で専門性という観点では病院のリハビリに一日の長があるでしょう。

また、1回の単価が高いために、介護保険の場合は多く利用すると、他のサービスが利用できない可能性もあります。

訪問でのリハビリは多少の欠点はありますが、他のサービスと比較しても、専門職から訓練を受けるという意味では手厚い 🙂 と思います。家に入られることに抵抗のある方も多いと思いますが、選択肢のひとつとして考えると良いでしょう。