リハビリを受けたい! どうすればいい?

リハビリの基礎知識
ミチル
おじいちゃんが、最近腰が痛いからリハビリを受けたいんだって
チルチル
リハビリって、どうやったら受けられるんだろう?

もちろん状態的に必要であることが前提ですが、リハビリを受けるのはそんなに難しいことではありません。しかし、実際には必要にも関わらず、リハビリを受けていない人を多く見かけます。リハビリを受けたいのに受けられない「リハビリ難民」という言葉が新聞の紙面を飾ったこともありました。
入院すれば、必要に応じて病院側がリハビリを進めてくれますが、入院しないで家で療養することになった場合、誰かが働きかけない限りリハビリは始まりません。身体を動かせないまま廃用症候群が進み、身の回りのことが出来なくなるほど能力が落ち込むこともあります。
そのようなことにならないために、家で過ごしながらリハビリを受けるには次のような方法があります。

病院やクリニックでリハビリを受ける

病院やクリニックなど医療機関でのリハビリについては、健康保険に加入していれば特に手続きは必要ありません。診察を受けて、リハビリが必要か医師の判断に委ねられます。医療機関でのリハビリは、病気や発症してからの時期によって法律的な制約があります。それに加えて最近は大きな病院については外来リハビリを縮小する傾向にあります。保険適応の事情とは別に、病院の方針によって外来リハビリの受け入れが違うのです。
リハビリに力を入れているクリニックも多く見られます。実際に足を運んだり、ホームページを見たりして、受けてみたいリハビリを提供しているようでしたら相談してみると良いでしょう。

介護保険を使ってリハビリを受ける

65歳以上でしたら介護保険を使うことができます。そこから通所や訪問のリハビリを受けることができます。40歳以上65歳未満の方でも「特定疾病」に指定されている病気を持ち、それが原因で介護を要する状態であるなら介護保険を使うことができます。

第2号被保険者の特定疾病
1.がん(末期で回復の見込みがない状態)
2.関節リウマチ
3.筋萎縮性側索硬化症
4.後縦靱帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
(パーキンソン病関連疾患)
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

(※65歳以上の介護保険利用者を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の利用者を第2号被保険者と呼びます)

介護保険は申請しないと使うことができません。もし、まだ申請していないようでしたらお住まいの市区町村の役所で申請することができます。申請に必要なものをあらかじめ問い合わせて足を運びましょう。その際、もし役場に介護保険のパンフレットなどあれば、もらっておくことをお勧めします。最近は自治体それぞれでわかりやすい冊子を作っているところもあります。理解の助けになると思います。

また、地域包括支援センター(名古屋市ではいきいき支援センターと言うなど、地域によっては呼び名が違う場合もあります)、居宅介護支援事業所などでは、申請の代行を行っている場合もあります。
近くに地域包括支援センターがある場合や、知り合いがいるなどあらかじめ依頼したい居宅介護支援事業所がある場合はそちらに申請を頼んでも良いでしょう。

申請すると自宅に調査員が来て、どれだけ介護が必要か調べに来ます。さらに手続きをした市区町村から主治医に意見書を依頼します。これら情報によって審査・判定が行われ、自立(非該当)、要支援1~2、要介護1~5といずれかの結果が通知されます。要支援あるいは要介護の認定を受ければ介護保険を使うことができます。

介護保険では「ケアマネージャー(ケアマネ)」というサービスを管理してくれる専門の職業があります。ケアマネは本人や家族の希望を聞きながらサービスの計画を立ててくれます。ケアマネがいるおかげで、不慣れな一般の方でも安心して介護保険を利用することができます。ケアマネは自分で探しても良いですが、頼めば役所で事業所の紹介もしてもらえます。

担当のケアマネが決まりましたら、リハビリを受けたい旨を相談しましょう。

もう一つアドバイスなのですが、介護認定には最低でも1ヵ月以上時間がかかります。介護保険利用の資格があり、もし、どこか身体に不自由な点があるのでしたら、サービスを受けるかは別にして申請を先にしておくことをお勧めします。先に申請を行っておくことで、手間を省くことができ、状態が急に変わったとしてもサービスをスムーズに導入することができます。

医療機関でも介護保険でもリハビリを受けられない場合

病院やクリニックの外来リハビリに通うことが難しく、年齢の関係などで介護保険の対象でもない場合はどうすれば良いのでしょうか?

医師が必要と判断した場合、訪問によるリハビリを受けることが可能です。かかりつけの病院やクリニックに訪問サービスがなくても、医師が訪問看護ステーションに指示書を書いて依頼することでサービスを受けることができます。訪問看護ステーションには理学療法士などリハビリ専門職を配置している事業所も多く、それらのスタッフが訪問してリハビリを行います。

ただし、医師は指示や依頼は行いますが、サービスを受ける事業所を決めるのは基本的に本人や家族になります。普段から在宅医療と関わりが強い医師でしたら、知っている事業所を紹介してくれることもありますが、そうでない場合は話が進みにくいかもしれません。
そのような場合、普段から医療機関、地域包括支援センター、役所などで相談員と接点があるのでしたら、そこから訪問看護ステーションを紹介してもらうのも手段です。訪問看護ステーションは様々な経験を有していますので、そこから主治医に連絡してもらえればスムーズに話が進みます。

医療機関、地域包括支援センター、役所などを回れば、どこかを紹介してもらえると思いますが、自分でも訪問看護ステーションを探すことは可能です。インターネットに情報は多く掲載されていますし、最近は病院に併設された訪問看護ステーションもあります。

連絡して、訪問リハビリを受けたい旨を伝えれば、しっかりした事業所なら相談に応じてもらえるはずです。その際、介護保険が使えないことを伝えましょう。基本的に介護保険を使える人はケアマネを介して依頼するのが前提なので、そこが伝わらないと「まずはケアマネージャーに」という対応になるかもしれません。「介護保険が使えないので、医療保険で訪問リハビリを受けたいのですが、そのための訪問看護ステーションを探しています」と伝えれば良いでしょう。病名、身体の状態、経過、かかりつけの医療機関など情報を聞かれると思うので、あらかじめまとめておくと便利です。

その他、65歳未満でも障害者手帳を持っている方は、福祉政策に基づくサービスを受けることができます。自治体によって受けられるサービスが異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村の役所に問い合わせてみてください。

身体の障害が大きいにもかかわらず、年齢が若く特定疾患でもないため、リハビリの対象から外れている方は意外に多いです。でも、そのような方でも何らかのサービスが受けられる可能性はありますので、きちんと相談を受けてくれる場所を探して、あきらめないでほしいと思います。