リハビリテーションの流れ ~入院から在宅まで

リハビリの基礎知識
チルチル
ここでは入院から在宅まで、どのようにリハビリが進んで行くのか、全体の流れを説明していきます

病気は誰にとってもつらいものです。入院が必要な大病は将来の不安もつきまといます。リハビリをはじめて経験する方も多いでしょうから、この先どのような流れで進むのか、霧の中を手探りで歩くような感覚かもしれません。
ここでは、その不安を少しでも和らげるために、入院から家までどのような流れでリハビリが進むのか、全体像をお話ししたいと思います。

もちろん病気の種類や重症度によって流れは変わってきますが、ここでは脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)、骨折といった、特にリハビリが長期化しやすい病気について、リハビリの流れを紹介します。

まず、病気やケガをした直後は多くが急性期の病院に入院します

急性期の病院と言われても一般の方は想像しにくいかもしれませんが、身の回りにある大きな総合病院は急性期病院であることが多いです。例をあげると、全国にある日赤病院や大学病院もほとんどがそれに当たります。
急性期病院は、命の危険がある方や病状が不安定な方に対して、手術や高度な専門医療を用いて、状態を落ち着かせるのが役割です。そのため、設備や診療科目も多く揃っています。
病状が安定すれば退院するか、長期の入院を受け入れている病院に移動することになります。リハビリが必要な方はそれに適した病院に転院します。

急性期病院からリハビリ病院への転院時期は早ければ2週間、多くが1ヵ月ほどだと思います。
リハビリを集中的に受けることのできる「回復期リハビリテーション病棟」の受け入れが制度上、発症後2ヵ月(病気によっては1ヵ月)と決まっていて、その期間を過ぎると受けてもらえなくなります。そのため回復期病棟への転院が可能な方は、多くが発症後2ヵ月が来る前に転院しています。

リハビリ目的の病院へ転院します

病状が落ち着いた後もリハビリを続ける必要があるなら、急性期病院からリハビリの充実した病院に転院します。
前述の回復期リハビリテーション病棟には、入院可能な病気や発症後の期間など制限があり、それが満たされていればそちらに転院になるでしょう。もし、条件が満たされていなくても一般病棟、地域包括ケア病棟、療養病棟などでリハビリを受けることができます。

回復期病棟ではさらに病気ごとに入院日数の制限があります。脳血管疾患で150日、特定の重度の障害がある場合は180日、骨折(あるいはその手術後)は90日です。地域包括ケア病棟には病名に関わらず60日という制限があります。一般病棟、療養病棟にはそのような制限はありませんが、各病院で入院期間の目安を決めているはずですので、転院前に聞いておくようにしましょう。

回復期リハビリテーション病棟については別記事「回復期リハビリテーション病棟とはなにか?」に詳しく書いています。また、リハビリ入院に関しては「入院のリハビリテーション」カテゴリーに記事をまとめています。

家に戻れない場合、施設に入所してリハビリを続けられます

時間が経過するに連れて、リハビリによる向上は緩やかになっていきます。リハビリで入院できる期間には限りがあります。障害の重さや家庭の事情などで、家にそのまま戻ることができない場合、施設に入所してリハビリを続けることができます。

施設にはいくつか種類があり、主に介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホーム(有料)、障害者支援施設に分かれます。さらに老健は自宅復帰率などに応じて5つの類型に分かれます。有料もいくつかの類型に分類できます。それぞれ入所の条件が違い、提供されるサービスの内容も異なります。リハビリの形にも違いがあります。

老健は制度上、自宅に戻ることを目標にしており、入所期限を定めている施設もあります。そのような場合、3ヵ月~半年ほどで設定されていることが多いようです。対して特養は終身そこで暮らせることを前提としています。有料についても入所期間の設定はありませんが、身体の変化で退去せざるを得ない場合もあります。例えば病気の悪化によって胃ろうが必要になった時、看護師が配置されていない施設では対応が難しくなります。障害者支援施設も入所期間は定められていませんが、65歳未満が対象者なので、65歳になると退所になります。

家に戻った後もリハビリは受けられます

病院や施設を経て、家に戻った後もリハビリを受けることができます。
現在は多くのリハビリ病院が入院を中心に運営しており、外来リハビリは縮小傾向にあります。入院していた病院が外来リハビリを受け入れていれば、そこに通うのも良いですが、そうでなくてもリハビリを受けられる場所は存在します。
地域のクリニックでは逆に外来リハビリに力を入れているところもあり、そのような場所を探しても良いでしょう。
介護保険による通所サービスという選択肢もあります。デイケアではリハビリ専門職の配置が義務づけられており、個別訓練を受けることもできます。
身体の状況で通うことが難しければ、訪問によるリハビリを受けることも可能です。

まとめ

このようにリハビリは多くの施設、サービスに関連していて、それぞれに特色があります。各施設やサービスの詳細については、別記事を随時更新してそこで説明していきます。よろしければそちらもご覧ください。
最後に、多くの方々は突然の病気にとまどい、はじめてのリハビリに対してもなかなか考える余裕がないかもしれません。苦しい道のりだと思いますが、時間が経つと落ち着いてきて周りのことも色々と見えてくるようになります。過去に何人も通ってそれぞれ自分なりの答えを見つけてきた道でもあります。希望を失わずに前を向いていただけたらと思います。
そのような方々に役立つためにこのブログも更新を続けていきたいと思います。