回復期リハビリテーション病棟とはなにか?

入院でのリハビリテーション
ミチル
お兄ちゃん、回復期リハビリテーション病棟ってなに?
チルチル
うーん、なんだか難しそうな名前だなぁ

回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)とは2000年に新設された制度で、自宅や社会復帰を目標に他職種がチームを組んで集中的なリハビリを行うための病棟です。

この病棟には対象となる病気と、発症からの期間が決められています。例えば、脳血管疾患や脊髄損傷、大腿骨頸部骨折であれば発症から2ヵ月以内、股関節や膝関節の置換手術後であれば発症から1ヵ月以内といった具合です(詳しくは下の表を参照してください)。

名前の通り、回復期の患者が対象で、リハビリによって期間中に大幅な改善が期待できることが前提です。そのような理由で神経難病、関節リウマチ、呼吸・循環器疾患、認知症などはリハビリが必要であっても回復期病棟の対象にはなりません。

回復期病棟でないとリハビリが受けられないわけではないですが、多くのメリットがあります。

まずリハビリ専門の病棟ですので、それに伴う職種と環境が整っています。次に専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)による訓練が多く可能であり、一般病棟が最大で1日2時間に対して、最大3時間まで可能です。回復期病棟の要件として「毎日リハビリが提供できること」とあり、病状に問題がなければ毎日リハビリを受けることができます。入院期間においても恩恵があります。脳血管疾患や脊髄損傷において入院期間は最大150日まで(高次脳機能障害や頚髄損傷の場合は180日まで)可能です。脳血管疾患や脊髄損傷では重い後遺症を残すことも多く、場所を変えることなく、それだけの期間じっくりリハビリに取り組めることは大きなメリットでしょう。

リハビリを受ける上でデメリットらしきことは特に思いつきません。もし、リハビリを続けたい希望があり、回復期病棟に転院可能な病状でしたら、そちらに移ることが基本になります。注意しなくてはいけないのは、転院できる期限が制度ではっきり決まっていることです。期限ギリギリで発熱して転院できなかったとしても救済措置がありません。病名や期間が問題なくても、受け入れ先が必ずしも空いているとは限らないので、ケースワーカーに相談するなどしながら早めに候補を探し、余裕を持って転院することをお勧めします。

表:回復期リハビリテーション病棟の対象疾患と入院に関する期間(一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会 ホームページより引用)

疾患 発症から入院までの期間 病棟に入院できる期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症、又は手術後、義肢装着訓練を要する状態 2ヵ月以内 150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷、及び頭部外傷を含む多部位外傷 180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発性骨折の発症後又は手術後の状態 2ヵ月以内 90日
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態 2ヵ月以内 90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 1ヵ月以内 60日
股関節又は膝関節の置換術後の状態 1ヵ月以内 90日