個室と相部屋、それぞれのメリットとデメリット

入院でのリハビリテーション

個室か相部屋か選べる時、どちらにするかも頭を悩ませる問題のようです。最初のうちは多くの人が、できれば個室が良いと考えているようです。近所付き合いが減り、人と接する煩わしさを避けたい現代社会の心理が、入院、入所生活においても働いているのかもしれません。個室にも相部屋にも良い点と悪い点があります。

リハビリ病院においての個室と相部屋

病院では一部の病棟を除いて相部屋の方が圧倒的に多いです。また、施設と比べて人の入れ替わりが早いのも特徴です。個室、相部屋それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

個室の場合

個室のメリット
他人に影響されることが少なく、自分のペースで生活を送れることが良い点です。
夜間、他人のナースコールなどで起こされることもなく、お見舞い客が来ても、周りに気を使う必要がありません。病状が安定しない時など、家族が寝泊まりしたい時は個室でないと不便でしょう。
病院によってはトイレや風呂を備えている個室もあります。部屋の外にほとんど出ずに過ごすことも可能です。ただし、リハビリ目的で入院の場合、個室のトイレの使用や一人で入浴することが能力的に困難なことも珍しくありません。リハビリ室に行くこともあり、部屋の中だけで過ごすというわけにはいかないでしょう。

個室のデメリット
入院費と別に個室の費用がかかります。値段は病院ごとに設定が変わりますが、日にち毎に計算されますので、入院期間が長くなると、当然、負担が大きくなります。
また、身動きが取れない状態の場合、個室では1日の多くの時間を1人で同じ風景を見ながら過ごすことになります。精神的な緊張を保てる方は良いのですが、高齢者の中には急速に認知症が進む場合もあり、そのような不安もあります。

相部屋の場合

病院によって、部屋の人数配置は変わりますが、概ね2人から6人で1つの部屋を共有します。

相部屋のメリット
部屋に他にも患者がいるので、看護師や見舞客など人の出入りが多くなります。それが刺激になり、精神的な停滞を予防する効果があるでしょう。また、病気を抱えている同じ境遇の人たちと話すことは、孤独になりがちな入院生活を和ませてくれます。
同じ部屋にいると自然と付き合いが生まれます。何かトラブルがあった時、隣の方がナースコールで知らせてくれることは意外に多いのです。入院期間が終わる頃には、すっかり仲良くなり、別れを惜しむ方々もいます。
病棟の廊下で部屋の方が集まって、井戸端会議をしている風景も見られます。失語症で言葉を発することができなくても、聞くだけで参加している方もいます。そういう姿を見ると病院のスタッフも心が和みます。

相部屋のデメリット
やはり人間同士ですから、相性が合わない方と同じ部屋になることもあります。また、夜間は他の方のナースコールで起こされてしまうこともあるでしょう。一つの部屋を共有しているので手狭ですし、周りに気を遣うことも多いと思います。共同生活する上で当たり前にある煩わしさが、入院生活にもあると考えると良いでしょう。

----

多くの方が最初は個室が良かったとお話しされますが、空きがあるとは限りませんし、料金も長期入院では相当な額になります。多くの人が相部屋を利用していますが、それほど不満を聞くことはありません。入院の場合、個室の方が圧倒的に少ないので、当然、相部屋が選ばれることが多くなります。

施設においての個室と相部屋

施設においても、個室と相部屋の基本的なメリット、デメリットは変わりません。
ただ、施設入所であれば、そこが終の棲家になる場合もあります。病院に比べると滞在期間はずっと長くなりますし、人の入れ替わりも少なくなります。
私も施設に出入りすることが多くあり、相部屋の入居者の様子もよく見ています。話し相手がいるというのは大きなメリットのようですが、長い期間一緒にいるとどんな相手でも何かしら不満が出てくるのも事実なようです。病院であれば退院があって、相性が悪い相手でもいずれ別れる時が来ますが、施設であると場合によってはそのままずっとお付き合いしなくてはいけません。
また、片方が体調が悪くなった時に、もう一人の入居者が職員に知らせてくれるという病院同様のメリットもありますが、隣に体調が悪い人がいるのは気を遣い、ストレスがかかる様子です。家族にしても、体調が悪くなれば頻回に見舞いをすることになりますが、相部屋だと相手の方に気を遣いますし、個室に比べると自由がききません。
しかし、長い期間入居する可能性があるだけに、個室と相部屋では経済的な負担の差も大きくなってきます。

----

個室と相部屋どちらが良いか? それは個人の病状や性格(これが一番大事だと思います 😅)によっても向き不向きがあります。経済的な問題も避けては通れません。メリットとデメリットを考えて、本人や世話をする家族がより良く過ごせそうな環境を選ぶのが良いと思います。