病院での家族の過ごし方 ~リハビリ見学のすすめ

入院でのリハビリテーション
ミチル
お兄ちゃん、おじいちゃんのリハビリ見に行こうよ!
チルチル
うーん、でも、見に行っても邪魔じゃないのかな?

伴侶や親が入院中、ご家族としてどのように過ごしたら良いか、わからない方も多いと思います。毎日、見舞いに行くべきなのか、どのように声かけしたら良いのか、親族や友人の見舞客はどうしたら良いのか、正解があるわけではありません。

見舞いに行く頻度は無理のない範囲で良いと思います。毎日行く場合でも、滞在する時間を調整したり休養日を作ったりするなど、ご家族としても休息をとることを心がけましょう。

しかし、80歳を超えた方が骨折するなどしてベッドでの安静生活を強いられる場合は、なるべく頻回に顔を出すことをお勧めします。刺激が少なくなることと精神的なショックにより認知症が急激に進んでしまう方がいるためです。入院生活が進み、大丈夫であることが確認できれば良いですが、当初は見舞いをしてなるべく様子を見ることが望ましいと思います。

見舞客については、特に食べ物のお見舞い品に注意しましょう。
食べる能力に障害がある場合や栄養を管理している場合は、身体に害を及ぼす可能性もあります。また上肢の麻痺などで自由に食べることができない場合もあります。

ご家族から「間を持たせることが辛くて、すぐに帰ってしまいます 😔」とお話しされることがあります。

親が入院した場合、普段面と向かって話すことがなくて、とまどう方もいるようです。私も父が入院した時、同じ状態でした。逆にこのような機会にゆっくり話すことができるとも言えます。しかし、照れくさくて話題も乏しい場合や、病気の症状でコミュニケーションがとれないこともあります。そのような場合は、一緒の空間にいることが辛くなり、つい足が遠のいてしまうこともあるようです。

私はそんな時、リハビリの時間を利用することをお勧めしています 😊

リハビリの時間は多くは予定が決まっていますので、その時間に合わせてお見舞いします。リハビリ中でしたら、間にリハビリスタッフがいますので、二人きりで間が持たないということはありません。また、訓練をしていますので無理に話す必要もありません。

リハビリ中の見舞いには他にも多くのメリットがあります。
まず、リハビリの様子を見ていただくことで、どのくらい回復が進んでいるか実際に見ることができます。「訓練中、介助してもらって杖で歩いている」と言っても、抱えてもらいながらやっとの状態と、手を添える程度の軽い介助ではその内容は大きく異なります。

訓練の様子を見ることで、生活でどのような介助が必要なのか、より具体的にイメージすることができます。入院も後半に差しかかるとカンファレンスが行われます。病状や予後が説明されて、家に退院するのか決断を迫られます。そこであわててリハビリを見学するようでは、あっという間に退院日が迫り準備が後手に回ります。

カンファレンスの時、スタッフはなるべくわかりやすく状態を説明するように心がけていますが、聞く方としてはたくさんの情報が一度に入ってくるので、混乱してしまうこともあるようです。実際にリハビリを見てイメージができていれば、説明に対して理解もしやすくなると思います。
カンファレンスで有意義な話し合いができると、そこからあらたに課題を持ってリハビリを行うこともできますし、必要なサービスをゆっくり手配することもできます。

ご家族がリハビリに付き添うことで、より良いリハビリが提供できることもあります。例えば、患者様が以前どのような様子だったかは訓練を行う上でとても重要になります。脳血管疾患で歩行障害が出たとして、もともと円背でかがんで歩いていた人に、背中を伸ばして歩くように指導してもなかなか効果が出ません。
本人の病前の状態や動きは文書では伝わりにくく、患者様自身でも「どうだったかなぁ」と案外わかっていなかったりします。リハビリに同伴した家族から情報をいただいたことで、訓練が効果的に行えたというのは私の経験でも数多くあります。

このようにリハビリに家族が付き添うことはコミュニケーションに一役買えるだけでなく、患者様や家族にとって多くのメリットがあります。

一緒にいると邪魔じゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ただし、理学療法や作業療法は基本的に場所に余裕のある訓練室で行いますが、言語聴覚療法においては個室で行います。患者様によっては集中ができないこともありますので、言語聴覚療法の付き添いについては担当に聞いてみてください。

リハビリを職業としている者としては、ご家族がいらっしゃることは大歓迎です。ぜひ、リハビリ室に足をお運びください 😊